ツイッター上にて、ひでさん(@e_shimada)と沖縄の海兵隊基地について楽しくやり合っている。
僕の印象では彼は所謂「左寄り」で、その上ちゃんとやりあえる人だと思うので、ガッツリやりあったら何が出てくるのか、また「僕はどのようにしてボコボコに論破されるのか」という顛末がとても楽しみなのである。(そして密かに米軍基地関連の考察の一助になればと思ったり、また東アジアを考える一助になったり出来ればと思っている。そのためには僕がボコボコにされる道化になってもかまわない)

 さぁ、まずここのコメント欄にひでさんが殴り込んできてくれる事を期待して、僕の考えをざっと書いておこう。
(精神分析系の君!そう、時々コメントが300件越える君!こないだデイトレで8万すった君だ。8万もするんだったら僕に本の数冊でも買ってくれたらどうかと思うんだが、まぁそれは良いか。ひでさんが「あわわ、どのタイミングで書き込んだらいいんだ」ってならないように、もしコメントするなら今回はいつもの調子じゃなくてまとめて書いてくれると嬉しい。)

言っとくけど「ざっと」だよ。ちゃんと書いたら本出せる。

まず前提だ。

 僕は「戦争なんか絶対やだ」の立場だ。
平和であるのが一番であるし、その為にはどんな方法だって採るべきだと思う。
少なくとも僕達が住んでいる「ここらへん」においては、あんな惨状を繰り返してはならないと強く思う。
出来れば他の地域でもだ。

はい前提終了。

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 まず地球儀を見て考えてみよう。
僕達が住んでいる日本国の北にはロシアがいて、西には中国がいる。東にはアメリカがいて、南には台湾がいてその先にはフィリピンがいてその他書くのがめんどくさいくらい国がある。
さて、これらの中で敵に回したら最悪なのはどの国だろうか。
勿論アメリカね。地球最強の軍隊を持ち、そして基軸通貨持ちだ。
怒らせたら大変。もうすでに一回怒らせて酷い目に遭ったね。
まずこの単純な点で「アメリカと仲良くしとくのに越した事はない」のは解ると思う。

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 次に海を見てみよう。
アメリカはイギリスの跡を継ぐ海洋国家だ。イギリスが覇権を握る過程で明らかになった戦略的なノウハウを継承して、その経済的、政治的影響力を維持する為にシーレーンをがっちり確保したい。

「Aで採掘した資源を、Bで資材として加工して、Cで部品にして、Dで組み立て、Eで売る」というパターンで商売するとして、このいずれかの間に海があるなら大体海路で運ぶ。陸路よりも大量に運べるし、空路よりもコストが安い。大量に安く運んだほうが利益は出る。
こういう商売をする際、もしどこかの海で輸送を妨害されたらどうしよう。輸送費に圧迫されて商売にならない。だからどこの国にとってもシーレーンの安全は確保しなきゃいけないものだ。

 アメリカは自国に本社を置く企業に儲けてもらう為(それは即ち自国に富を集める為)に世界の海を大体押さえている。
「大体押さえる」為にはいろんな所に基地を置かなくてはいけない。
実際いろんな所において、中にはインド洋のディエゴガルシア島なんて辺鄙なところまである(地図で見ると絶妙なポイント)。

世界地図を眺めて「アメリカと強い同盟関係にある国々」を結んでいくと「あ、こう押さえるとなんか航海し易そうだな」と思えると思う。
 実際「アメリカが軍事介入したところ」のほとんどはそれ関係のポイントだと思って良い。ベトナムの近くには何がある?マラッカ海峡さーHAHAHA!

 逆に言うとシーレーンが脅かされた時にアメリカは軍事行動を起こすと言ってよい。
「アフガンは違うじゃん」と思うでしょ?
でもその隣に何があるかと言えば、東西にイランと中国で、北には旧ソ連の天然資源の豊富なハートランドがある。海はないけどちゃんと要所。
みんな「アホブッシュ」と思いがちだけれども実はちゃんと覇権を安定させると言う脈絡には沿っている。

で、僕達はそういうアメリカの軍事力の影響下で恙無く商売をやっている。景気は悪いけど(誰か僕を雇ってー!)。

このくらいでざっくりとシーレーンの重要性と、僕達が如何にアメリカの恩恵に預かっているか解ってもらえると思う。
これを逆に考えると、シーレーンを破壊しちゃえば僕らの生活は崩壊するだろうと容易に想像できるだろう。

 ついでに言っておくと「例年より気温が低い」ってだけで野菜の値段は高騰する。
「シーレーンより食糧自給率だろ」と言う人もいるかもしれないけど、自給率が高かったら高かったでもっと酷い値段になっただろう。
長期的にシーレーンの破壊をされたら、と考えるとあれだ。毎日サツマイモの生活だ。
戦争するよりはマシかも知れないけど、僕はちょっと遠慮したい。

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 日本の地図を引きで見ると、日本、台湾、フィリピンと縦に並んでいて、その南にマラッカ海峡がある。日本やら台湾やら韓国やら中国は大抵そこを通ってインドなり中東の産油国なりアフリカへ出ることになる。
ソマリアやモザンピークに海自の艦艇をだして海賊取締りをしているのは周知の事だろう。国民生活の、引いては同じ地域の諸国民の大事な生命線だからいろんな国が合同で守っている。

さて、関係する全ての国が「みんなの生命線だから仲良く守ろうや」というんなら万事OKだ。仮に「領土問題」という火種を抱えていても外交上の問題にとどめて実力行動に至らないのなら、対話と交渉を続けながら「それはそれ」としてなんとかなるだろう。多分。

しかし、フィリピンから米軍が撤収した途端にフィリピンが領有を主張する南沙諸島ミスチーフ礁をひょいっと占領したやつがいる。中国だ。

2007年には南沙諸島、西沙諸島に行政区を勝手に制定した。
これ、「みんなの生命線だから仲良く守ろうや」って態度とはちょっと思えない。
確かに中国以外の国々も領有を主張して泥沼だし、海底資源を巡ってのエゴむき出しの争いなので、中国だけを批難する事は出来ない。
しかしそこで軍事演習までやっちゃうのはどうか。直接的過ぎやしないか。

 覚めた目で見ればとてもエレガントな強かさだなとは思うのだけれど、シーレーンの事を考えると他人事ではない。
僕は寝起きの「おめざ」にチョコレートを食べていたい。

中国の領土拡張のやり方は大体の場合「そこはうちの領土だ」と主張して国内問題として処理するものだ。
台湾に対しては重武装の警察隊をすでに準備している。軍を使って「侵攻」するよりも警察が出たほうが国内問題っぽいからね。

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 中国が海を隔てて領土を拡張しようとした場合、それはほぼ「日本、台湾、フィリピン、マラッカ海峡」のラインの主要な一角を崩す事になると判るだろう。

ここで資料。
防衛省2010年4月13日発表「中国海軍艦艇の動向について」[PDF]

4月10日(土)午後8時ごろ、海上自衛隊第6護衛隊(佐世保)所属「ちょうか
い」及び第5護衛隊(舞鶴)所属「すずなみ」が、沖縄本島の西南西約140kmの
南西諸島を東シナ海から太平洋に向けて南東進する中国海軍のソブレメンヌイ級ミサ
イル駆逐艦2隻、ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻、ジャンウェイⅠ級フリゲート2
隻、キロ級潜水艦2隻、フーチン級補給艦1隻、ダーラン級潜水艦救難艦1隻及びト
ゥーヂョン級艦隊航洋曳船1隻の合計10隻を確認した。これらの艦艇は、4月11
日(日)、沖縄南方海域において洋上補給を行ったことが確認されている。
ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦2隻、ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻及びジャ
ンウェイⅠ級フリゲート2隻については、4 月7 日(水)から9 日(金)まで、東シ
ナ海中部海域において、艦載ヘリコプターの飛行を行う等の訓練を行っていたことが
確認されている。
この点、4月8日(木)午前に、中国艦艇から発艦したとおもわれる艦載ヘリコプ
ターが警戒監視中の護衛艦「すずなみ」に接近し、水平距離約100ヤード、高度約
100フィートを近接飛行した。このような飛行は艦艇の安全航行上危険であると認
識している。

 そのほかの報道によれば海自のP3Cに対し速射砲の照準を合わせて威嚇したりしている。

この出来事が、普天間基地の問題で大騒ぎになっている時期に起こっている事と、日本と台湾の間に割って入る形で行われた事に留意されたい。

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あー、疲れた。

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 中国にとってアメリカと事を起こすことは避けたい筈だけれども、一方で外交の常として軍事的なカードを用意して置きたいだろうという事は推測できる。
台湾を取っちゃったらどうだろう。
「その気になれば通商破壊もできるよ?」という強力なカードと「俺たちも太平洋に進出できるよ?」というカードが持てる上に、自国内の「独立したがっているとこ」に対して「台湾も許さなかった」という事実を突きつける事が出来る。

そして併せ技で「俺ら、すげぇドルもってるよ。これ売ったら大変だぜ?」というカードをちらつかせるっていうのはなかなかインパクトのある恫喝じゃないだろうか。

このカードの価値に比べて、これを得る為のコストが低いと判断されたらどうだろう。
つまり、一番怖い国であるアメリカが対処できないうちにこのカードを手に入れる事が出来るとしたら。

そこで斬首戦略となる。
具体的にどうするか、なんていうのは僕は中国の関係者じゃないから判る訳もないのだけれど、ランボーみたいな器用なやつを小規模に侵入させて政府の主要な部分を占拠するだろうと言われている。
台湾は法治国家であるから戦争の開始や同盟国への救援の要請なんかは政府の名で行われなければならない。
政府の名を使わせない事で命令系統の寸断と、情報発信の遅延を発生させる。
 台湾の防衛は、日本と同じように「(実質)一定時間食い止めて米陸海空軍の来援を待つ」というものだ。
食い止めるにも政府の正当な命令無しには軍を動かせない。動かしたらそれは法的に犯罪となってしまう。勝手に来援を請うのも同様だ。
 あとは占領だ。大部隊が海を渡ってくることもあるだろうし、占拠した台湾政府の名において併合を宣言しても良い。その時点で台湾政府が何も言わなくなっているのだからアメリカとしても何も出来ない。あとは「ここは中華人民共和国の領土であるから自力で鎮撫する」と言ってしまえばよい。

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 それをさせないために「沖縄の海兵隊」と言うことになる。
沖縄にいる海兵隊は大統領の命令だけですぐ動けるようになっている。議会を通さずに出撃。
(追記:60日で終えて30日で撤退すればいいそうだ。)
そして台湾の中にも情報を収集する小規模な米部隊はいる。
「大陸からなんか来る(或いは、来た)!」となったらすぐにヘリコプターで海兵隊が駆けつけて、中国から送り込まれた「ランボーみたいな器用なやつら」に対処するという事になっている。
「揚陸艦にえっちらおっちら車両乗っけて・・・」ってのはその後の話なのである。
すぐに駆けつけるには沖縄以外にありえないのだ。

で、もし台湾が占領された場合を考えてみよう。
僕たちの目と鼻の先に緩衝地帯も何もなく「機会があったら占領するよ」と行動で示す実に頼もしい連中がいると言うことになる。

そういう事が起きないように、沖縄に海兵隊の荒くれどもがいるのだ。
「海兵隊の基地が沖縄にある」という事実は、中国にとっては「事を起こすとアメリカと対峙する事になる可能性が高い」となる。そのリスクは中国にとって無視できるものであるか否か。それはちょっと考えればわかるよね。

中国から見たら、日本に思いっきり言うこと聞かせられたら、いいよねー。
しかも台湾からメンチ切るだけでできたら、いいよねー。

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 「これを実行したら面倒な事になるなぁ」あるいは「損するなぁ」と思わせて思いとどまらせるのが「抑止」なのであって、別に戦争したいから軍備を整えるわけじゃない。
しかも抑止力になる軍備と言うのは「なんかきな臭くなってきた」となってからでは整備に時間がかかりすぎるものだ。
戦争をしないで済むように、戦争を始める前に勝負を決しておくというのが最も「人が死なずに済む為に」大事なことだ。

「アメリカの海兵隊が荒くれだから出て行ってもらったほうがいい」と思うのはよく判る。
けれども、一国で自立して防衛する事が出来るか、単独でシーレーンの安全を図れるか、と言えばそれは疑問だ。
逆に言うと集団的自衛権を放棄できる国と言えば、本当に一握りの国なのだ。
本当に恩恵を受けているのは僕たちであってアメリカだけではない。
僕達は低コストでシーレーンの安定を得ているのだ。

そしてよく見てみよう。「紛争当事国」でない国が日本の周りにあるだろうか。アメリカですら「戦時中」だ。
軍事的な視点を放棄してもいい状況であるといえるだろうか。
軍事的な視点を放棄していても差し迫って困っていないと言う状況を許しているのは一体何の結果だろうか。

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 沖縄はこれまで説明してきたように軍事的にとても魅力的な立地だ。日本、台湾、韓国へひょいと行って展開でき、太平洋に出る事も出来るし、太平洋から入ることも出来る。それはどの国の領土となっても同じことで、仮に「琉球王国」として独立を保っていたとしても同じ。残念な事に島は動かせないんだよね。

目下大問題なのは、東アジアの安定と日本国内の内政の問題とが一緒くたに語られていることだ。
沖縄の住民が苦しんでいるのはよく解る。基地に土地を貸した収入のあるおじいおばあにぶら下がらなければいけない悲しみも解る。死地との行き来が頻繁な荒くれ海兵の行状に苦しめられ、騒音に悩まされる悲しみも解る。
しかしそれは別の解決方法を模索するべきなんじゃないのか。
日本政府が本気で保障しようとすべきなのではないのかと僕なんかは思うんだよな。ちゃんと説明できれば、その保障のために税金使っても文句は言われないんじゃなかろうか。

住民が東アジアの安定とシーレーンのために負担を強いられているおかげで僕達は恙無く商売をしていられる(ほんと雇って)。
僕たちの商売がこれまで巧くいってきたのはやはり安定したシーレーンによって安定した商品の輸入と輸出が実現できていたからだ。「しばしば滞る商売相手」が信頼されるってことはあまりないんじゃないかな。
この事には目を瞑って「臭い物には蓋」とばかりに軍事的視点を軽んじていて良いと思えるだろうか。

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 僕は別に「中国脅威論」をいたずらに煽ろうとしているのではなくて「当たり前のこと」を言っているつもりだ。
「国家」と言うものの本質が国民の物理的暴力を一元管理する為の組織であると言う古典的な理解から言っても、当然(だと思う)の帰結を言っているに過ぎない。
それらは幻想だというのは容易い事だけども、本当に「戦争なんかやだ」と思うならば、この社会とこの社会を取り巻く周辺の社会が暴力に満ちている事を直視しなければいけないし、綺麗事では済まないのだという事も直視しなければいけないだろう。
軍事力の均衡と対話によって平和を創り出す以外に有効な手段があるなら、迷わずそれを採るべきだけど、目下そんなものは無いんじゃないかと僕は思うな。

欧州は統一したじゃないかって言う反論がありそうだから先に潰しておく。
周りが陸の小国が寄せ集まっているところで戦争おっぱじめたらどんだけコスト掛かると思ってるんだ。海に到達するまで殲滅戦やらなければいけないし(実際ドイツの軍人ってこんな事考えてたらしい)、海まで行ったら行ったで海岸線に部隊を貼り付けておかなければいけない。戦争自体にメリットがない。統一したほうがメリットが大きい。じゃぁアジアはどうかと言えば、統一するメリットなんかない。単純にメリットとデメリットを数えてみると判ると思う。
文化も考えも歴史観も言語も違う国々が統一に向くメリットもなく接してるのだから、対話と抑止しかないでしょ。

あー、すげー疲れた。
今日はエセ精神分析にいく余裕無し・・・。

ってかさぁ、防衛や外交に関わる大問題を選挙と同じレベルで扱うなよって話だよ全く。